オーバータップって知ってますか?
表面処理まで一貫して請け負う当社ではよく使う工具です。
今回はオーバータップの用途について解説していきます。
オーバータップとは…
ネジの嵌合性確保を目的として、主に表面処理の前に通常の規格より大きめにネジを切っておくための工具
・オーバーサイズタップとは
通常のタップ規格より大きめに作られたタップのことを言います。
つまり、オーバーサイズのタップです。よく「オーバータップ」と略して呼ばれます。
(ちなみに厳密にはJISで「オーバーサイズタップ」ではなく「オーバサイズタップ」と表記されているそうです…。知りませんでした苦笑)
・オーバーサイズタップの目的、用途
・表面処理(メッキ、アルマイトなど)後のメネジの嵌合性を確保するため
表面処理を行うと、ネジ山にメッキやアルマイトの膜厚が乗るため、その分ネジがきつくなってしまい、ネジゲージの検査が通らなくなってしまう可能性があります。
そのような状況を防ぐために、事前に表面処理前に通常のタップの後にオーバータップで大きめにネジ穴を拡げておくことを行います。(因みにオーバータップでさらった直後でもネジゲージの判定は通り、止まり共に満足できます。)
・熱処理により変形が予想される際にメネジの嵌合性を確保するため
溶接や、仕上げ加工後に熱処理を行う場合、熱によりワークにひずみが発生し、メネジが変形してしまうことがあります。その場合、通常の規格のタップで開けたメネジではネジゲージの検査を通過できないことが考えられるため、事前にオーバーサイズのメネジを加工し、多少変形してもネジゲージの検査を通過できるように、クリアランスを多く設けておくことがあります。
・相手部品であるオネジが大きめにできていて、嵌合がきつくなってしまっている場合の対処として
滅多にありませんが相手部品を支給された際にオネジが大きめにできていた場合、相談の上でオーバータップを使用し、嵌合性を確保することも対処として考えられます。
・最後に
当社では日頃飛び交っている「オーバータップ」という言葉ですが、今回改めて目的を調べてみました。オーバータップの詳細な規格、精度の説明は刃物メーカー様に譲る形とし、割愛させて頂きました。少しでも参考になれば幸いです。
(執筆 生沼)