鉄にクロムを添加すると錆びにくく、強くなります。
それが、多様な機能を持った金属界の優等生・ステンレスです。
特性
- 非常に錆びにくい
金やプラチナに次いで耐食性が高い
非常に強い不動態皮膜を形成 - 機械的強度が高い
鉄が主成分のため、鉄と同等の強度を持つ
鋼種によっては熱処理で更なる硬度入れも - 低温下でも脆くならない
最も優秀な低温用材料
液体窒素(-196℃)の設備に使用される - 高温下でも強度を保てる
500~900℃の高温でも優れた強度 - 保温性に優れる(熱伝導率が低い)
クロムやニッケルが分子の動きを妨げる
タンブラーに使用される - 溶接に向いている
鉄と並ぶ代表的な溶接材
取扱い材料
- オーステナイト系(SUS303,SUS304,SUS316など)
- フェライト系(SUS430など)
- マルテンサイト系(SUS403,SUS440など)
- 析出硬化系(SUS630,SUS631)
- 二相系(SUS329J1)
- STAVAX(SUS420J2の改良鋼)*
*…ウッデホルム社(現アッサブ社)の開発したプラスチック金型用の鉄鋼材料
加工事例
加工性について
熱伝導率が低いため、加工時に発生する熱が切り粉に伝わりにくく、低温の切粉がワークに溶着し、切削を妨げます。
切り粉に熱が伝わらない分、刃先に熱、負担がかかり、摩耗が進行します。
また、加工する(応力を加える)ことで硬さが増す(最大400HV程度)加工硬化性もあるため、工具寿命が短くなります。
最も一般的なステンレスであるSUS304は加工硬化を起こしやすいため、SUS304に硫黄を添加し、被削性を向上させたSUS303の方が加工時間を短縮でき、コストを抑えやすい傾向があります。(SUS304でも問題なく対応は可能です。)
必要によってアニール材(焼鈍材)を使用し、高精度、コスト低減を図りながら対応しております。
※アニール材…残留応力の除去、被削性の向上のために焼きなましをした材料
表面処理
- メッキ(電解・無電解)
※あまり一般的ではありませんが、当社では光学部品に対してのご要望で大日野工業㈱製の黒色クロムメッキ(ヒノブラック)処理を行う事がございます。※レイデント処理相当
二次処理
- 研磨(砥石・ラップ・バフ・電解・化学)
- 軟窒化(タフトライド)処理
- 不動態化(パッシベート)処理
- 固溶化熱処理
- 焼鈍
- 研磨(バフ・電解・化学)
- キー溝
- 溶接・ロウ付け
ステンレスの部品用途
当社から一言コメント
セキダイ工業では、剛性が高いOKUMAの加工機を使っているため、ステンレスのような加工時間がかかりやすい素材でも、早く、高品質な加工ができます。