た行

耐クリープ性

荷重をかけ続けることによって物体の変形が起こる現象をクリープ現象といい、その現象の起こりにくさを耐クリープ性という。

ダイクロメート処理(化成処理)

マグネシウム合金に行うクロメート処理(化成処理)のこと。MIL-M-3171, AMS-2475に準じ、航空エンジン部品でよく使用されている名称の模様。MX処理(化成処理)もこちらに属する。

対称度

互いに対象であるべき形体の中心線や中心平面がどれだけのずれを許容するかを表す幾何公差

耐食性

腐食しにくさ、錆びにくさのこと。金属の錆は酸化などが原因で起こるが、その変化の起きにくさが耐食性である。耐食性により金属は五つに分類できる。①金、プラチナ(白金)などの分子構造が極めて安定している貴金属、②強い不動態被膜を形成するチタン、ステンレス、アルミ、③腐食の進行が遅い銅、亜鉛、④錆びやすい鉄、鋼、⑤腐食しやすいマグネシウム

耐熱性

高温環境下において物性を維持する性質。基本的にエンジンやエキゾースト部品で重要視されることが多い。耐熱性が高い代表的な金属としては、ステンレス、インコネル、ハステロイ、タングステンなど。

耐疲労性

繰り返しの応力に耐える性質。疲れ強さ。

耐摩耗性

摩耗に耐える性質。硬い材質は耐摩耗性が高い傾向にある。一般的にロックウェル硬さでHRC40以上だと耐摩耗性が高いと言われる。代表的な金属としては、SCM材、SUJ2などの鉄鋼材。表面処理としてはDLCコーティング、窒化処理、高周波焼き入れなど。

耐力

その物が耐えうる力のこと。耐力の値(降伏点)を超えたときに物体は塑性変化を始める。

高送り加工

切削送り速度を速くして切削能率を上げる切削加工の方法。「高速高送り加工」と「低速高送り加工」の種類があり、「高速高送り加工」では、高速回転(10,000rpm以上)対応のMCが必要である。刃物のビビりが発生しやすいため、工具突き出し量が短く(立っ端が小さい)、切削距離が短い小物加工に向いている。

ダイカスト

金型による鋳造法の一つで、溶融した金属に圧力を加えながら、精密な金型に流し込む工法である。鋳巣ができにくく、高い寸法精度の製品を、短時間に大量生産できる。ダイカスト製品の代表例としては、ミッションケース、シリンダーブロックなどの自動車部品全般、扉のハンドルなど。ダイキャストとも呼ばれる

ダイス

切削加工において、軸の外側に雄ネジを切るために使用する工具。

ダウンカット

マシニング加工における削り方の種類。工具の回転方向(時計回り)に対して、加工物を上から下方向へ削り下げる加工。刃物のビビりが少なく、工具が長持ちするため、基本的にはアップカットではなく、ダウンカットを行う。

タップ

切削加工において、穴の内側に雌ネジを切るために使用する工具。

タフピッチ銅

純度99.90%以上の銅。

タフラム®処理(テフロン硬質アルマイト)

硬質アルマイト表面の微細凹凸にフッ素樹脂を含ませた表面処理。元々宇宙開発人工衛星等の部品への使用を目的に米国のGENERAL MAGNAPLATE CORP.社が開発し、商標登録している。日本国内ではアルバックテクノ株式会社が日本国内で唯一ライセンス生産をしている。アルミ全般に処理は可能だが、寸法管理や品質の面からA5052、A6061への処理が推奨されている。「テフロン硬質アルマイト」が相当処理になる。

タングレスインサート

メネジ強化のために挿入されるインサートで、タングのないインサートのこと。通常のインサートでは、挿入後のコイルの回り留めにタング折り作業が必要だったが、タングがないことにより、こちらの作業がなくなり、作業の効率化や、ピッチ飛びなどの不具合発生率の低減が見込める。F1、航空機の分野で特に多く用いられている。

鍛造加工

金属をハンマーで叩いたり、金型で圧力をかけて変形させる加工方法。熱間鍛造では素材を高温に熱してから加工するため、組織が均質となり、高い靭性と強度を得られる。冷間鍛造では素材を常温の状態で加工するため、大きな圧力が必要になるが、精度のいい製品が作れる。鍛造製品の代表例としては、日本刀、ペンチ、クランク軸、ジェットエンジンの回転部品など。

探傷検査

材料表面に開口した傷(クラック)を発見するために行われる非破壊検査。磁粉探傷検査、超音波探傷検査、X線探傷検査などの種類があり、当社では簡易的な蛍光浸透探傷検査の実績がある。

弾性

物体に力を加え、その力を取り除いた後に元の形に戻ろうとする性質。輪ゴムやタイヤなどのゴム製品が弾性を有する製品の代表例。反対語は塑性

チタン

機械的性質にバランスよく優れた金属。高価で加工性が悪いことがデメリット。難削材に分類される。

窒化処理

鋼の表面を加熱し表面から窒素元素を染み込ませて内部の金属元素と結合させ、硬い窒化物層を形成することにより、表面を硬化する熱処理の一種。ガス窒化、ガス軟窒化、塩浴窒化などの種類がある。当社では塩浴窒化で対応することが多い。焼き入れと違い、低温での処理となり、また、焼き入れでは硬度が入りにくい内部に対しても窒素ガスが入り込んでしみ込むため、ワーク全体として均一な硬度が得られる。硬化層は浅い。耐疲労強度、耐磨耗性、耐食性の向上を目的として行われる。仕上りはねずみ色~白灰色。寸法変化は0~5μm程度のため、加工完了後に処理を行う。

チッピング

刃具の欠け、こぼれ。

チャッキング

ワークをチャック装置で機械に固定すること。

鋳造加工

型に溶かした金属(湯)を流し込んで成型する加工方法。中空品(中が空洞になっている製品)や物理的に切削が出来ない(刃物が入らない)複雑形状を製造できる。砂型、ロウ型(ロストワックス)、ダイキャストなどの種類がある。鍛造品、圧延品(切削品)と比較すると、金属を自重で流す(ダイキャストは除く)ために、強度や靭性に劣ったり、鋳巣などが発生したりする弱点がある。

調質材

焼入れ焼戻しした材料。材料メーカー側で、圧延加工された材料に熱処理を行う。S45C,SC材に適用され、おおよそHRC30前後の硬度を有する。H材のこと。例.S45C調質,SCM415H

直角度

幾何学的に正しい直線に対してどれだけのずれを許容するかを表す幾何公差

つかみしろ

切削工具を工具ホルダに装着するときの工具シャンク部の取付長さ。エンドミルなどでは直径をdの記号で表して、「2d以上が必要」などと表す。

出来なり

出来たなり。出来栄えが出来たままの成り行きになること。加工の実績がない材料の精度や、非常に厳しい要求事項(寸法、幾何公差)に対して、加工してみないとどこまでの精度が出るかわからない場合、見積もり時に事前の打ち上げとして「出来なり」という表現を用いる。例.「φ10 +0.005~0に関しては出来なりとなります」

デブコン

金属セメント。

テフロン(フッ素樹脂)コーティング

フッ素樹脂の塗膜を付着させるコーティングのこと。非粘着性、耐熱・耐寒性、すべり特性、電気特性、耐摩耗性、耐薬品性、耐蝕性、非濡性などの物性を付与することができる。精密加工の分野では膜厚は20μm~50μm程度が一般的。また「テフロン™」は米国ケマーズ社(旧デュポン社)の商標。PTFE,PFA,FEP,ETFEの種類がある。PTFEが最も汎用性が高い。PTFE及びPFA,FEPは協力会社での対応が可能。

電着塗装

電着塗料が入った槽の中に、被塗物と電極を入れ、片方を陽極、反対側を陰極にすることにより電位を生じさせ、塗膜成分を電気泳動させる事により被塗物の表面に塗膜を析出させる方法。カチオン電着塗装(被塗物が陰極)、アニオン電着塗装(被塗物が陽極)の種類がある。ELECTRO COATINGまたは、ELECTRO DEPOSITION COATING等といわれ、一般にEDと呼ばれており、図面上には最も一般的な「カチオン電着塗装」表記以外に「カチオンED」等と指示されることもある。

データム

幾何公差を指示するときに付与される基準となる線、面。

テーパー

主に旋盤で加工される、円錐状の面のこと。

電解研磨

電気分解の原理を利用して、金属の表面をミクロン単位で溶かし、研磨をする処理。オーステナイト系ステンレスSUS304,SUS316、アルミ材の研磨に用いられる。物理的研磨や、洗浄などでは除去することが困難な汚れや傷を取ることができる。金属の表面は滑らかになるため、汚れがつきにくくなる。

転造

加工物を工具で挟んで盛り上げて成形する加工方法。通常は冷間で加工される。素材の塑性を利用して、変形させるため、切削粉は出ない。一般に雄ネジ加工に用いられ、切削よりも強度が高く、生産能率も高いため、量産品に適している。

同軸度

データム形体に対して他の円形形状または円筒形状の中心がどれだけのずれを許容するかを表す幾何公差

特殊鋼

鉄(Fe)に炭素(C)以外のさまざまな元素を加えたり、特別な製造法、または熱処理に特別な配慮が払われる合金鋼。

共加工

複数の部品を組み合わせた状態で行う加工。合わせ加工、同時加工。下記共加工の加工動画

とんぼ

とんぼ返りの略。反転すること。例えば鋳型を上下裏返すことや旋盤の加工品の左右を反対に取付け直すこと

トンボ加工

左右両側から加工を加えること。例えば、長尺シャフトの旋盤での内径加工時、片側からだと中ぐりバイトが届かない時にはトンボ加工で左右両側からバイトを入れて加工する。

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