過酷な環境で無類の強さを発揮します。
その分、難切削材としても有名です。
超耐熱(熱伝導率が悪い)のため、材料より工具の方が先に熱に負けてしまい、強度も高い難削材の代名詞。正に加工屋泣かせの材料と言えます。当社でも加工の取扱いを行い始めたのがここ数年です。
加工開始当初は簡易形状の案件から始めて実績を積み重ねていき、現在では様々な形状の切削加工に対応しております。
特性
- 耐クリープ性に優れる
高温下での持続的な応力による歪みが発生しにくいため、ロケットエンジンやF1™のエキゾーストなどに使用される - 卓越した耐食性
海水、酸・アルカリ類、化学薬品、水素、一酸化炭素、炭酸水素などのあらゆる腐食環境に影響をほとんど受けない - 高温下での耐酸化性に優れる
650~900℃の温度に50時間放置されても、ほとんど腐食しない
欠点
- 高価
目安単価8,000円/kg以上 - 難加工
加工性が悪くなる条件が揃っている
実用的な切削データが他材料と比較して極端に不足している
取扱い材料
Ni基合金,純Ni
- インコネル600(Alloy600)
- インコネル625(Alloy625)
- インコネル718(Alloy718)
- インコネルX750(AlloyX750)
- インコロイ800H(Alloy800H)
- モネル400(Alloy400)
- モネルK500(AlloyK500)
- ハステロイ(AlloyX)
- 純ニッケル(Alloy201)
※インコネル(Inconel)、インコロイ(Incoloy)、モネル(Monel) はSpecial Metal Corporationの登録商標です。
※ハステロイ(Hastelloy) はHaynes International, Inc の登録商標です。
加工事例
実績は多数あるのですが掲載できる部品がほとんどなく、簡易形状しか載せていません。
切削加工における加工性について
インコネルは加工性は悪く、難削材と呼ばれています。
理由としては以下の通りです。
- 耐熱性に優れる素材のため、切削抵抗が高く、特殊なコーティングを施した難削材用刃物でも、工具の方が先に熱に負けてしまうため、直ぐに折れてしまう
- 熱伝導性が悪く、加工中に上がった刃先の温度が下がらないために熱で刃物が弱ってしまうため工具寿命が短くなる
- 工具材料との親和性が高いため、素材が刃物へ溶着する。そのため、きれいな切粉とならず、仕上げ面が悪くなる
- 加工硬化が生じやすいため、同じく工具寿命の短命化、仕上げ面の粗化が発生する
これらの理由から、加工を積極的に手掛ける会社が少なく、加工を行う会社も基本的に加工条件を公開しなかったりするため、実用的な切削データが他材料と比較して極端に不足しています。
そのため、加工時のワーク温度の管理、工具の刃形状、材質の選択、切削条件(回転、送り、工程)の設定、工作機械・コレットチャックの剛性などを手探りで検討していかなくてはいけません。
セキダイ工業では、様々な条件で加工にトライし、精度や生産性に対しての最適な条件設定を行っています。
二次処理
- 各種熱処理
そのまま使用されることが多いため、あまり一般的ではありません。
インコネルの部品用途
上記の他に、F1™車両のエキゾーストや焼却炉などの超高温域や高腐食環境で必須の材料となっています。
当社よりコメント
インコネルの加工はかなり癖がありますが、ここ数年で需要が高まってきており、当社でも数多くの加工実績があります。お困りのインコネル材の加工は是非当社へお任せください。