何という軽さ…部品の軽量化を求めるのであればマグネシウム一択です。
マグネシウム合金の最大の特徴は軽さです。実用中金属の中で最も軽量でありアルミ合金の66%の比重という圧倒的な軽さを持ちます。また、比強度でも鉄やアルミを越える強度となります。
しかし、加工時の発火リスクも有り、切削加工業者からは敬遠される一面も有りますが、当社では積み重ねてきたノウハウと万全の管理体制で継続的に切削加工を行っております。
近年の軽量化のニーズからも自動車や宇宙部品などの様々な産業に使用されている、ポテンシャルの高い材質となっています。本ページではマグネシウム合金の特性や加工性についてご紹介していきます。
特性
- 実用金属中で最も軽い金属
比重が約1.8とアルミ合金(比重2.7)の2/3という圧倒的な軽さで、業界問わず様々な製品の軽量化に貢献 - 比強度が高い
比重の割に引張強度が高いため、同重量を用いた場合ではアルミ、鉄よりも高強度 - 耐くぼみ性(デント性)
加工硬化率が高いため、
衝撃を受けても凹みが少ない - リサイクル性が高い
融点が摂氏約650度と低いため、
容易に再利用可能 - 振動吸収性に優れる
実用金属中最大の振動吸収性
振動を吸収、放出する
故にレース用車両のホイールや音響関連部品にも使用される - 生体親和性がある
人体に存在する元素のため、
金属アレルギーを起こしにくい - 切削性がいい
切削抵抗が低く加工時間の短縮が見込める - 熱伝導性に優れる
アルミ225W/mKには及ばないが154W/mKと良好で樹脂の数十倍は優れる
欠点
- 発火リスク
発火温度は400℃と低くはないが、表面積が大きくなる切粉の場合は空気中の酸素、水分とよく反応するため発火しやすい。さらに燃焼しているマグネに水をかけると水素爆発を起こす - 高価
目安単価10,000円/kg以上
比重は少なく、加工性も良いため、安価に収まることは多い - 腐食しやすい
イオン化傾向が高い卑金属に属する - 絶対的強度は高くはない
A2017>AZ80A>ZK60A>A5052 - 変形しやすい
ヤング率が45GPaと低く、変形は多い
比較:アルミ(A7075)72GPa,チタン(Ti-6AL-4V)110GPa
取扱い材料
- AZ31B
- AZ61A
- AZ80A
- AZ91D
- ZK60A
- AM50A
- WE43A
- WZ73(KUMADAI耐熱マグネシウム合金)
- WZ75(KUMADAI耐熱マグネシウム合金)
- DRFマグネシウム合金*
*DRFマグネシウム合金…AZ80にDRF(Deformation Restricted Forging=変形拘束高負荷鍛造)法を施した高強度素材。川本重工株式会社と豊橋技術科学大学が新開発し、ジャパンファインスチール株式会社が取り扱いを行っている。現在はφ46mm×500mmのみ(500mm以内であれば切断可)の取り扱いとなる。
マグネシウム加工事例
切削加工における加工について
マグネシウムは加工性(被削性)自体は非常に良く、アルミの半分の抵抗で切削できます。しかし、変形のしやすさに反比例するヤング率が低く、反りなどの変形に気を付けなければいけません。
また、発火のリスク、腐食のしやすさにも注意が必要です。切削性は良いですが、管理が非常に大変な為、積極的に金属加工を行う切削加工業者は多くありません。
当社では、ほぼ全ての機械で油溶性切削油を使用しており、加工時には消火用の乾燥砂を常設して発火リスク低減に努めています。マグネシウム加工専用機を設けないことで、サイズに縛られることなく、短納期のご希望にお応え致します。
また、腐食対策については切削油はもちろんのこと、防錆紙の使用や表面処理のご提案などで対応しています。初めてマグネシウムを取り扱うお客様もお気軽にご相談ください。
表面処理
- 化成処理
- 塗装
- 陽極酸化被膜処理
- 電解メッキ
マグネシウムの部品用途
その他に、スマホやパソコンなどの電子デバイス、精密検査機械、自動車部品など軽量化を求められる部品で積極的に使用されています。
マグネシウムについて当社からコメント
材料は高価ではあるが、軽量化を求める部品に最適なマグネシウム合金。
当社では「マグネシウム製の自動車用部品」から始まり、継続して加工を続けた強みを自負しております。現在、非常に多くのマグネシウム加工のお問い合わせを頂いており、ご要望に応じて、DRFマグネシウム合金やKUMADAI耐熱マグネシウム合金などの特殊材の手配から加工まで対応しています。
マグネシウム部品を取り扱ったことがない方でも丁寧に説明させて頂きますので、
お気軽にご相談やお見積り依頼のご連絡頂ければスピード対応致します。