加工

加工方法を中心に加工に関連する用語を紹介しています

圧延加工

金属の塑性加工の一種で、回転する複数のロールに板状または棒状の材料を延ばして成形すること。熱間圧延、冷間圧延の種類がある。

圧入

ピンや棒などを、それより直径の小さな穴に圧力を加えてはめ込む締結法。位置決めや埋め栓、部品同士の組立などに用いられる。

アップカット

マシニング加工における削り方の種類。工具の回転方向(時計回り)に対して、加工物を下から上方向へ削り上げる加工。削り始めが曲線面になり、食いつきが悪いためビビりが発生しやすいが、ビビりが発生しない条件であれば、刃物が当たっている時間がダウンカットに比べて長い分、光沢が出やすい。また、Tスロカッターを使用する場合は切粉排出性の良い、アップカットが推奨される。

荒取り

仕上げ削り前に行われる荒削り、またはその作業。

アリ溝

入り口が狭く奥に入るにつれて広くなっていく逆ハの字(逆テーパー)の溝のこと。Oリングの抜け防止などのために用いられ、加工には専用の工具が必要となる。

アンダーカット(伏角)

刃物が物理的に届かない箇所。テーブルを傾斜させながら加工を行うことができる5軸マシニングセンターでは、一部加工を行うことができる

糸面取り

バリによる怪我防止を目的として指示される保護面取り。JISによる規定はないが、一般的にはC0.2~C0.3程度とされる。指示例.「指示なき角部は糸面取りのこと」

インサート

アルミやプラスチックなどの、直接ねじを切っても強度がたもてないような軟質材へ埋め込むコイル(ナット)の総称。強い締め付けを必要とする箇所、繰り返し使用され耐久性を求められる箇所に適す。Eサート(旧ヘリサート)、タングレスインサート、エンザートの種類がある。長さは1D(ダイヤ)、1.5D,2Dの3種類があり、タップ深さによって倍数により使い分ける。

インデックステーブル

機械加工で使用する、角度を割り出しできる回転テーブルのこと。マシニングセンターに搭載することで、4軸、5軸の加工が可能になる。

エンドミル

切削加工に用いる最も一般的で万能な刃物。外周面及び先端に切れ刃をもつ。

応力

物体が外から力を受けたとき、物体の内部に生じる力(抵抗力)。

送り

マシニング加工において)回転数×刃数×一刃あたりの送り(切削速度)。送りを早くする事で加工時間は短縮されるが、切削抵抗の増加、面粗度の悪化、刃具の破損のリスクが高くなる。

温間加工

金属を常温以上再結晶温度以下に熱して行われる加工のこと。温間すると冷間(常温)より金属の変形抵抗が低くなり、塑性変化させやすいため、加工速度が高くなり、加工領域が広くなる。熱間加工よりは加工性は悪くなるが、その分精度の高い加工ができる。温間圧延、温間鍛造、温間プレスなどがある。

ガイド

部品同士の位置を決めたりするための案内となる部分。ピンやシャフトなどが用いられる。

カエリ

加工面に生じる不要な突起。

かしめ

材料の一部をつぶして二つ以上の部品を接合する方法。

加工硬化

金属に応力を与えた際に塑性変形に伴って硬さが増す現象。大部分の金属材料は常温(冷間)で加工硬化する性質を持つ。

切り欠き

被加工材の縁を凹状に切り取るせん断加工。形状にもよるが、Tスロカッターで加工されることが多い。

キー溝

回転する部品を固着するために用いられる機械要素。軸穴側のキー溝に軸側のキーを挿入し、くさびの役割を担う。スロッター加工、ブローチ加工、ワイヤー加工が主な加工方法であり、稀にマシニングによる切削加工で隅Rや逃げ溝を設けて対応することもある。

現合

現物合わせ。既に加工された相手部品や市販部品に合わせてはめあい具合を確かめること。

ザグリ

穴の開口部を一段下げるようにして広げる段加工。組付けた際に、ネジやボルトの座りを良くする浅いザグリ、ネジやボルトの頭が出っ張らないようにする深いザグリがある。図面上「SPOT FACING」と記載されることもある。

残留応力

外部負荷が取り除かれた後でも内部に存在(残留)する応力のこと。

治具

加工品を固定したり、組立作業などの高精度化、効率化を図る器具または装置。対象物に合わせてオリジナルで作られる。

自動旋盤(自動盤)

主に量産加工に使用される小型の旋盤で、カムや油圧、電気的な構造を使用して、主軸の回転、切り込み、バイトの運動、工作物の切断、供給など加工のすべてを自動で行う旋盤。

シロ加工

表面処理を行わない、材料に機械加工のみを行った状態

ストローク

(機械加工において)主軸や刃物台が動き、加工が可能となる範囲。

スプライン

動力を伝達するギアで、外側に多数の歯をもつ軸であり、相手方のボスはこれに嵌まるような溝をもっている。多数の歯でトルクを伝達するので、大きい動力の伝達ができる。歯の断面形状により角形スプラインとインボリュートスプラインに分別される。

すり割り

シャフトなどの締め込みを強くするためにクランプ部品などに設けられる貫通した溝形状。主にワイヤーカットにて加工される。

スロッター加工

スロッター盤を使い、穴にキー溝削りの金属加工を行う加工方法。作りたいキー溝のかたちに沿った刃物を上下運動することで切削加工を行う。また、一気に引き抜いて加工するブローチ加工と比較すると、1つの加工に時間がかかる分、大量生産には向いていないという特徴があるが、一つ一つの形状ごとに加工するキー溝の大きさや長さの自由度が高かったり、ブローチ加工では不可能な、内径の止まり穴のキー溝加工も逃げ溝さえあれば行える。

切削加工

刃物を用いて、材料を削り、必要な形状、寸法、表面状態にする加工法。マシニングセンター、NC旋盤などで加工する。精度が求められる各種精密部品、鋳物製品の後加工(ネジ、座面、精度穴加工など)などに用いられる。

切削性

切削加工性の良し悪し。一般的には、硬い材料(インコネルなど)、柔らかい材料(純アルミなど)、もろい材料(モリブデンなど)は切削性が悪いと言える。

センター穴

旋盤や円筒研削盤などの加工を行う際に、加工基準とするための穴のこと。 長尺のシャフト形状部品では、片側のみのチャッキングでは加工時に、自重で反対側が振れてしまい、安定的な加工が行えないためセンター穴を設けることが多い。JISによって決められた形状が複数存在するが、一般的には、60°のセンター角を持ち、面取りのないA形という形が用いられることが多い。

旋盤

工作物を回転させ、バイトなどを使用して、外丸削り、中ぐり、突切り、正面削り、ねじ切りなどの加工を行う工作機械。

総形バイト

ワーク形状(輪郭)と加工する刃が同じ形状になるように、専用に成型したバイト。通常、ワークをある形状にする場合、バイトを加工形状に沿って走らせながら切削していく。しかし、加工図と同一の形状・寸法をした総形バイトを使用して加工することで、加工時間の短縮(コスト削減)、特殊形状への対応、つなぎ目のバリの解消などのメリットが得られる。特注の刃物となるため、小ロットでは費用的に向かず、量産で必要とされることが多い傾向にある。

塑性加工

物質の塑性を利用し、材料に力を加えることによって、目的の形状へ加工すること。加工時間が短く、材料ロスも少ない。プレス、絞り、鋳造、押し出し、圧延、引き抜き、転造などの種類がある。

高送り加工

切削送り速度を速くして切削能率を上げる切削加工の方法。「高速高送り加工」と「低速高送り加工」の種類があり、「高速高送り加工」では、高速回転(10,000rpm以上)対応のMCが必要である。刃物のビビりが発生しやすいため、工具突き出し量が短く(立っ端が小さい)、切削距離が短い小物加工に向いている。

ダイス

切削加工において、軸の外側に雄ネジを切るために使用する工具。

ダウンカット

マシニング加工における削り方の種類。工具の回転方向(時計回り)に対して、加工物を上から下方向へ削り下げる加工。刃物のビビりが少なく、工具が長持ちするため、基本的にはアップカットではなく、ダウンカットを行う。

タップ

切削加工において、穴の内側に雌ネジを切るために使用する工具。

タングレスインサート

メネジ強化のために挿入されるインサートで、タングのないインサートのこと。通常のインサートでは、挿入後のコイルの回り留めにタング折り作業が必要だったが、タングがないことにより、こちらの作業がなくなり、作業の効率化や、ピッチ飛びなどの不具合発生率の低減が見込める。F1、航空機の分野で特に多く用いられている。

鍛造加工

金属をハンマーで叩いたり、金型で圧力をかけて変形させる加工方法。熱間鍛造では素材を高温に熱してから加工するため、組織が均質となり、高い靭性と強度を得られる。冷間鍛造では素材を常温の状態で加工するため、大きな圧力が必要になるが、精度のいい製品が作れる。鍛造製品の代表例としては、日本刀、ペンチ、クランク軸、ジェットエンジンの回転部品など。

チッピング

刃具の欠け、こぼれ。

チャッキング

ワークをチャック装置で機械に固定すること。

鋳造加工

型に溶かした金属(湯)を流し込んで成型する加工方法。中空品(中が空洞になっている製品)や物理的に切削が出来ない(刃物が入らない)複雑形状を製造できる。砂型、ロウ型(ロストワックス)、ダイキャストなどの種類がある。鍛造品、圧延品(切削品)と比較すると、金属を自重で流す(ダイキャストは除く)ために、強度や靭性に劣ったり、鋳巣などが発生したりする弱点がある。

つかみしろ

切削工具を工具ホルダに装着するときの工具シャンク部の取付長さ。エンドミルなどでは直径をdの記号で表して、「2d以上が必要」などと表す。

テーパー

主に旋盤で加工される、円錐状の面のこと。

転造

加工物を工具で挟んで盛り上げて成形する加工方法。通常は冷間で加工される。素材の塑性を利用して、変形させるため、切削粉は出ない。一般に雄ネジ加工に用いられ、切削よりも強度が高く、生産能率も高いため、量産品に適している。

共加工

複数の部品を組み合わせた状態で行う加工。合わせ加工、同時加工。下記共加工の加工動画

トンボ加工

左右両側から加工を加えること。例えば、長尺シャフトの旋盤での内径加工時、片側からだと中ぐりバイトが届かない時にはトンボ加工で左右両側からバイトを入れて加工する。

内部応力

残留応力参照のこと。

逃げ

刃物がピン角を削れないとき、不完全ネジ部の干渉を避ける、または相手部品が合わさるときの干渉を避けるための形状。盗み、逃がしとも言う。

熱間加工

金属を再結晶温度以上に熱して行われる加工のこと。熱間すると金属の変形抵抗が低くなり、塑性変化させやすいため、加工速度が高くなり、加工領域が広くなる。熱間鍛造、熱間圧延、押し出しなどがある。

バリ

加工後、端面に出る微小なささくれの事。

板金加工

金属板を、曲げ・切断・穴あけ・溶接などにより、目的の製品・部品形状に仕上げていく加工。

歪み

物体に外力(熱や力)を加えることによって生じる縮み、ねじれ、伸びなどの変化。ステンレス、鋳物、溶接品、高硬度材、薄肉・薄板部品などに生じやすい。

表面粗さ

加工品、成形品などの表面の粗さの状態。物理形状と実際の表面形状の差。Ra(算術平均粗さ、特別に指示がない場合、こちらで示される。)、Rz(十点平均高さ)、Ry(最大高さ)の種類がある。Ra値の4倍≒Rz値。

ピッチ円

円弧上に配列した穴の中心点を結んだ線。

ピッチ円直径(P.C.D)

円弧上に配列した穴の中心点を結んだ線の中で、穴やタップを等間隔で配置することを意味する記号。

びびり

加工中、工具と工作物間に不安定な相対変位が生じる振動現象

ピン角

丸みのないエッジが尖った角部のこと。 切削加工では凹形のピン角は加工不可の為、ピン角形状が必須であれば「放電加工」、貫通形状かつ微小なRを許容出来れば「ワイヤーカット」で対応する。また設計変更が可能であれば、隅Rやニガシ形状へ変更する事でコストダウン・納期短縮が可能となる。

歩留まり(ぶどまり)

投入した材料などに対して期待される出来高に対して、実際に得ることが出来た割合のこと。

プラネットカッター

ヘリカル加工によって、雄ネジ、雌ネジどちらの加工もできる切削工具。

フルバック

マシニングにおいて、平面を切削するための刃具。

フラットエンドミル(スクエアエンドミル)

先端の形状が平坦で水平面や直角面の加工に使用される。

ブローチ加工

ブローチ盤を用いて様々な形状をした専用刃物(ブローチ)を引き抜くことによりキー溝削りの金属加工を行う加工方法。ブローチ加工は1回で加工完了することができる為、加工単価が安く、量産の加工に適している。刃物がワークを貫通する為、底詰まりのワークには対応できない。止まり穴(底詰まり)のワークにキー溝加工を行う場合はスロッター加工となる。

ヘリカル加工

Z軸方向送りとともに定義されたピッチで円弧軌道(X,Y軸)を描く加工方法。求められる加工内容に対応する市販のタップやドリル、リーマーなどの工具が無い場合などに用いられる。

放電加工

電極と被加工物との間に放電することにより、被加工物表面を溶かす機械加工。通常の機械加工が厳しい硬い素材の加工、切削では物理的に不可能なピン角の加工、金型の加工などに用いられ、少量生産に適している。

ボールエンドミル

先端が球状で、三次元形状やR形状を加工するために用いられるエンドミルの一種。仕上げ加工に使われる。

ボール盤

金属に穴やタップをあける為の工作機械。現在、当社では圧入を行う際にも使用している。

マシニング加工

マシニングセンターを使用する切削加工。

面取り

ワークの角を斜めに削り落とす、あるいは丸める加工。45°にカットするC面取り、20°にカットするPC面取り、丸みを持たせるR面取りの種類がある。

ラジアスエンドミル

隅肉部のR加工に用いられ、刃先がR形状となっているエンドミル。

ラフィングエンドミル

粗削り用のエンドミル

リーマー

ドリル、エンドミルで開けた穴を径精度、真円度表面粗さなどに対する仕上げに用いられる刃物。

リーマー仕上げ

リーマーを用いた仕上げのこと。図面に公差が示されず、「リーマー仕上げ」と指示されることがまれにある。

冷間加工

金属の塑性変形を利用した常温で行われる加工方法。切削、曲げ、切断、冷間圧延、冷間鍛造などがある。加工領域は限定され、エネルギーを必要とするが、材料のロスがほとんどなく、また熱間加工(材料を加熱して行う加工)と比較すると高精度な製品が出来上がる。

レーザーマーキング

製品に対して、識別、ナンバリング等を目的として、レーザーで文字を印字すること。

ローレット

丸軸に凹凸のギザギザを入れる加工のこと。滑り止めや、回り止めの目的で用いられる。金属のボールペンや工具などの持ち手に施工されることが多い。

ワイヤーカット加工

放電加工の一種で、真鍮製のワイヤーに電流を流して、糸のこのように金属を切断(溶断)する加工方法。切削できない高硬度の焼き入れ鋼や、特殊鋼、非常に薄いワークでも加工ができる。通電性を持つ金属であれば加工可能。アルマイト処理がされているワークは通電しないため加工不可。

2面幅

対抗する2平面の距離やその形状。

Dカット

側面から見て「D」字の形状に加工すること。軸の回り止めの目的がある。

Eサート(旧ヘリサート)

メネジを強化するためのステンレス製のコイル。通常のめねじ穴より15%程度大きく開孔し、その中にコイルを挿入することで、アルミやプラスチックなどの軟質材に強固なめねじをつくる。

Tスロカッター

T字をした刃具で、エンドミルなどの刃物をZ軸方向に動かすだけでは加工が行えないアンダーカット部や切り欠きなどの加工に用いる。

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