あ
圧延加工
金属の塑性加工の一種で、回転する複数のロールに板状または棒状の材料を延ばして成形すること。熱間圧延、冷間圧延の種類がある。
圧入
ピンや棒などを、それより直径の小さな穴に圧力を加えてはめ込む締結法。位置決めや埋め栓、部品同士の組立などに用いられる。
アップカット
マシニング加工における削り方の種類。工具の回転方向(時計回り)に対して、加工物を下から上方向へ削り上げる加工。削り始めが曲線面になり、食いつきが悪いためビビりが発生しやすいが、ビビりが発生しない条件であれば、刃物が当たっている時間がダウンカットに比べて長い分、光沢が出やすい。また、Tスロカッターを使用する場合は切粉排出性の良い、アップカットが推奨される。
アニール処理
焼鈍を参照のこと。アニーリングとも呼ばれる。
アニオン(電着)塗装
カチオン塗装と電極が逆で、水溶性塗料(陰極)を溶かした槽に製品(陽極)を浸漬させ、電気の力を使って塗膜を形成させる塗装。被塗物が複雑な形状であっても均一で密着性の高い塗膜が形成されるる。カチオン塗装に比べると防食性が低い。治具に吊るして浸漬するため、その部分には塗膜が着かない。主にアルミ素材(鉄も可)の塗装に用いられる。アクリル樹脂主体の塗料を用いるため、カチオン塗装が灰色、黒色だけなのに対して、豊富な色のバリエーションがある。
荒取り
仕上げ削り前に行われる荒削り、またはその作業。
アリ溝
入り口が狭く奥に入るにつれて広くなっていく逆ハの字(逆テーパー)の溝のこと。Oリングの抜け防止などのために用いられ、加工には専用の工具が必要となる。
アルマイト処理
表面処理の一つ。アルミニウムに対して行う被膜処理であり、シュウ酸などの電解液中でアルミに電気を流して、耐食性酸化被膜をつけること。素材を意図的に酸化させ、被膜を形成する。通電して行うため、接点(アルマイト接点)が必要となり、その箇所には処理はのらない。当社では、各種カラーアルマイト、軟質アルマイト、硬質アルマイト、梨地アルマイトなど様々なアルマイト処理を含んだ一貫対応が可能となる。
アルミ(アルミニウム)
加工性の優れた軽量金属。切削性が非常に良好で、流通性もよく、価格も安価なため、自動車部品を始め、様々な業界、製品で使用される。
アロジン処理(化成処理)
アルミに行う化成処理(クロメート処理)の一種であり、6価クロム含有のため、RoHS指令に対応していない。日本パーカライジング社の商標。
アンダーカット(伏角)
刃物が物理的に届かない箇所。テーブルを傾斜させながら加工を行うことができる5軸マシニングセンターでは、一部加工を行うことができる
い
位置度
理論上の正確な位置に対して、どれだけのずれを許容するかを表す幾何公差。
一般公差
図面の寸法に対してズレの許される径や長さの「上限・下限」の範囲を、等級によって定めたJISの規格。そのため図面には公差の指示は記載されないが、「精級(f)・中級(m)・粗級(c)・極粗級(v)」の指示が記載される。(無記載の場合は精級~中級であることが多い)
糸面取り
バリによる怪我防止を目的として指示される保護面取り。JISによる規定はないが、一般的にはC0.2~C0.3程度とされる。指示例.「指示なき角部は糸面取りのこと」
鋳物
金属を高温で溶かして、砂などで作った型の空洞部分に流し込み、冷やして固めて出来た材料、製品
インサート
アルミやプラスチックなどの、直接ねじを切っても強度がたもてないような軟質材へ埋め込むコイル(ナット)の総称。強い締め付けを必要とする箇所、繰り返し使用され耐久性を求められる箇所に適す。Eサート(旧ヘリサート)、タングレスインサート、エンザートの種類がある。長さは1D(ダイヤ)、1.5D,2Dの3種類があり、タップ深さによって倍数により使い分ける。
インゴット
金属材料を溶製後、圧延、鍛造などの加工を行う前に一定の単純な形に鋳造したもの。現在流通している量産金属材料はほとんどがインゴットの工程を経る。
インコネル
ニッケルをベースとし、鉄、クロム、モリブデンなどを添加した超合金。最も加工が困難な材料の一つ。
インデックステーブル
機械加工で使用する、角度を割り出しできる回転テーブルのこと。マシニングセンターに搭載することで、4軸、5軸の加工が可能になる。
インボリュート曲線
一つの円(基礎円)に巻きつけられた糸を弛まないように張りほどいた時、糸の端点が描く軌跡。
インボリュート歯車
インボリュート曲線を歯形に用いた歯車。曲線が単純で作りやすく、中心距離が多少増減してもかみ合いに影響がない、ごく一般的な歯形。
え
エンドミル
切削加工に用いる最も一般的で万能な刃物。外周面及び先端に切れ刃をもつ。
円周振れ
データム軸周りに部品を回転させたとき、指定された表面の任意の位置で指定された方向にどれだけ振れてもよいかを表す幾何公差。
塩水噴霧試験
製品に塩水を噴霧し、製品の耐食性を評価する試験。
円筒研磨
ワークを回転させながら、外径に砥石を当てがい、研磨する方法。切削加工では得られない高精度な寸法や表面粗さを可能とする。
円筒度
幾何学的に正しい円筒に対してどれだけのずれを許容するかを表す幾何公差。
お
黄銅
銅に20%以上の亜鉛を加えた銅合金。真鍮。
応力
物体が外から力を受けたとき、物体の内部に生じる力(抵抗力)。
送り
(マシニング加工において)回転数×刃数×一刃あたりの送り(切削速度)。送りを早くする事で加工時間は短縮されるが、切削抵抗の増加、面粗度の悪化、刃具の破損のリスクが高くなる。
オーステナイト系ステンレス
18%クロム鋼にニッケルを8%以上加えたステンレス鋼。SUS304を始めとして、世界で使用されるステンレスの内、約7割がこちらに分類される。
押出成形
金属の塑性加工の一種で、材料に強い圧力を加え、ダイス(金型)を通して押し出して成形する。溶融温度に近い温度まで熱して行う温間押出、常温で行う冷間押出の種類がある。
温間加工
金属を常温以上再結晶温度以下に熱して行われる加工のこと。温間すると冷間(常温)より金属の変形抵抗が低くなり、塑性変化させやすいため、加工速度が高くなり、加工領域が広くなる。熱間加工よりは加工性は悪くなるが、その分精度の高い加工ができる。温間圧延、温間鍛造、温間プレスなどがある。
オンスペック
寸法公差、幾何公差に対して、上下限一杯の値のこと。例えば、φ5H7の上限値は+0.012であるが、測定結果が5.012の場合、5.012以下の単位(この場合は0.0001)に上限側に外れている可能性が否めないため、不良扱いとなる。良品と確認するためには図面で要求される10倍以上の測定精度が必要となる。単位が0.01の場合、0.001台までの測定精度が必要。